2025年6月22日日曜日

我が家の秘密

 「玲香こっちを見なさい」


仕事帰りでまだスーツも脱いでいない健は

目の前で10分前から拗ねている玲香に

優しくでもどこか厳しく声をかける


玲香はおねぇさん座りをしながら

履いているショートパンツの端を弄りながら

床とにらめっこしていた

そして漸く玲香が口を開いた


「だって・・・欲しかったんだもん」


綺麗な顔立ちからは想像出来ないような

まだ幼さ残る声がリビングに伝わる


そんな玲香を見て健は深くため息をついた


「欲しいのは分かるけど限度額は?」


「・・・」


「答えなさい?」


「越えてる・・・けど」


「けど?」


「・・・」


その後の会話はまた続かなかった

痺れを切らした健が立ち上がる

その気配を感じた玲香は慌てて口を開く


「気を付けるからっ!」


その言葉を手で遮るように健は両手で

玲香の頬を挟んで顔を挙げさせた


「その言葉何度も聞いたよ?」


玲香は頬を染めながら目を逸らす

それを健はすぐに咎めた


「目を見なさい」


玲香は目を逸らしたまま答える


「健ちゃんごめんてばぁ」


「玲香のごめんはあてにならない」


健は玲香をベッドまで手を引っ張り連れて行こうとする

脚をめいっぱい踏ん張って玲香は抵抗する

力の差は歴然であっという間に寝室に着いた


「ねぇ!健ちゃんやだっ」


「何が嫌なの?」


受け答えをしながらも

健は玲香を膝の上に腹ばいに寝かせた

膝の上でじたばたと暴れる玲香


「おしりされなくても分かるからっ」


玲香の抵抗も虚しく

健はお膝の上に乗せた玲香のショートパンツと下着を

膝までゆっくり下ろした


「おしおきだ。今日は簡単には許さないからね?」


健は手を振り上げ

玲香のおしりの真ん中目掛けて振り下ろした


バシン!パシン!パシン!


「やっ、いたいっ、やだぁ」


玲香は叩かれる度に脚を跳ねあげる

目の前にはベッドのシーツが見えるのに

叩かれる度にそれが揺れた


「お買い物はどうするんだっけ?」


健は手を止めずに玲香に問いかける


「2万円までっ、いったぁい」


玲香の返事を聞いた健は一際強く真ん中へ振り下ろした


「そうだったよね?それで?限度額は?」


「10万円・・・いたああい」


先程と同じように健は手を振り下ろす

玲香は脚を跳ねあげながら身を攀じる

止まらない平手に今までの事を後悔していた


「10万、も!使ったんだね?」


健はお説教を強調しながら平手を緩めない

少し玲香の息が上がってくるのが

玲香を押さえつけている左手から伝わった


「ごめんなさいっ、もうしないからぁ」


「口先だけのごめんなさいが言える程

    僕は舐められてるって事でいいね?」


「ちがっ、いったあああい!やだああ」


バシン!


玲香の謝罪も虚しく空を切る

こういう時の健が本当に厳しい事は

玲香が1番よく分かっている

5分しか経っていないのに玲香には長く感じる時間だ


「いたいよぉ・・・やだぁ、ぐすん」


「痛いからおしおきなんでしょ」


健は当たり前の事をサラッと玲香に告げる

玲香の声が少しづつ泣き声に変わってゆく

ベッドのシーツをめいっぱい握りしめながら

早くこの時間が終わって欲しいと玲香は思う

健の叩き方が強くなってゆく


「何でおしおきされてるか考えながら受けなさい」


健は手を止めず泣いている玲香に声をかける

おしおきを始めた以上厳しくする姿勢は崩せない為

唯一の助け舟を玲香に投げかけた


「お買い物し過ぎちゃったからぁ、ひっく」


泣きながら玲香は頭の中をフル回転させながら応えた

どうしたらおしおきの手を止めて貰えるのか

どうしたら許して貰えるのか必死で考えた


「どうしてそれがいけないの?」


健は少し手を緩めて玲香に問いかける

でも玲香のお尻はダメージを受けている為

手を緩めて貰えた事に気付けないでいた


「わかんないよぉ、うわぁん」


「何故お金を貯めているんだっけ?」


そう玲香に問い質すのは健の優しさだった

今の玲香は冷静に考えられる状態でもなく

痛いのと終わって欲しいだけで頭がいっぱいなのを

健はよく分かっていたからだ

その健の優しさを受け止める余裕のない玲香は

ベッドのシーツに涙で跡を付けながら答える


「わたしの、ゆめの、ためっ、ひっく」


「だよね?資格取りたいんでしょ?」


「うん・・・ひっく」


「なのに何故お金使うの?適当なの?」


健の平手は一層弱くなっていた

今の玲香にはちゃんと考える時間が必要なのだ

しっかりと向き合って欲しいが故なのだ


「ごめんなさぃ・・・」


「やっと心から言えたね?」


そう言って健は1度優しく玲香のおしりを撫でた

汗ばんでいる真っ赤に火照ったおしりは可哀想だった

撫でられた安堵からか玲香の泣き声が強くなる

暫く健は玲香の頭を撫でた

サラサラの髪が汗で少し指に引っかかる


「じゃあ最後しっかりと反省しなさいね?」


撫でていた手をおしりに戻しそう言いながら

健はおしりの真ん中をピタピタと軽く叩いた


パシン!パシン!


「やぁっ、ごめんなさぃっ」


「もうしませんは?」


「もう、しませ、んっ」


仕上げに20回全力で叩いておしおきは終わった

玲香を目の前に立たせる健

綺麗な顔立ちが泣き顔でぐしゃぐしゃになっている

こんな姿も愛おしいと健は思う


「これからどうするの?」


今すぐにでも抱きつきたそうな玲香を許さずに

健は目の前の玲香に問い質す


「ちゃんと、お約束まもって、お買い物す、る」


「そうだね?忘れちゃいけないよ?」


「はぃ」


「じゃあおいで?」


健が大きく手を広げると玲香は飛びつく勢いで

その胸の中におさまった

健は大きく息をする玲香の背中を優しく撫でながら

涙で濡れる頬にキスをした


「まったく手がかかるんだからこの子は」


2人はこうして今までも時間を刻んできた

誰にも言えない2人だけの秘密の時間

男女の営みよりも大事な時間


「健ちゃん、大好きだよ」


泣きながらそう伝える玲香の唇を健が唇で塞いだ


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